今回は2024年問題と36協定の違いをわかりやすく解説していきます。
36協定とは年間で360時間以上の残業は禁止、と認識している方が多いです。
2024年問題とは、2024年から年間960時間以上の残業は禁止、というものです。
この時点でおかしいですよね。
「もともと360時間で制限されているんだから、960時間の制限なんて意味ないじゃん!」と思う方も多いでしょう。
というわけで今回は…
- 36協定を正しく理解する
- 2024年問題(残業960時間)を正しく理解する
- 36協定と2024年問題を正確に理解する
ということに絞り込んで、むずかしい言葉は使わずになるべくわかりやすく解説していきます。
36協定(サブロク協定)とは?正しく理解しよう!

36協定とは、労働基準法第36条に定められた労使協定となっていますが、これがすでにむずかしい!
労働基準法というのは労働に関する法律ということで、なんとなくわかります。
問題は労使協定ですよね。特に『労使』の部分です。
労使(ろうし)というのは、従業員と会社という意味です。
従業員と会社のことを、法律では『労働者と使用者』という言い方をするので、略して労使協定というような表現になってしまうんですね。
ちなみに、協定はルールのことです。
労働に関する基本的なルールは労働基準法に定められていますが、残業のルールに関しては会社と従業員の間で36協定によって決めているということです。
よって残業が無い職場であれば、36協定を結ぶ必要はありません。
あと従業員というのは正社員だけじゃなくて、パートもアルバイトも派遣社員も含みます。
で、その労働基準法第36条を簡単にまとめると…
- 従業員が年間360時間以上の時間外労働をすることは禁止
- ↑は月平均30時間だけど、最大でも月に45時間以上の残業は禁止
- パート・アルバイト・派遣社員も対象
かんたんにまとめるとこんな感じです。
他にももっと細かいことはあって、たとえば…
- これに該当するのは週に40時間以上働いている人限定
- まず勤務時間とか休日をきちんと設定して、何曜日の何時以降が残業扱いというのを事前にちゃんと決めること
- 従業員は月に45時間残業すると脳や心臓の病気になりやすくなるんだけど、会社側はそのことをしっかり覚えておいてね
- などなど
というようなことが細かく書かれてます。
ですがこのページでは、わかりやすさを最優先して説明しています。
細かい部分は抜けていますが、そこはご了承ください。
ちなみに、従業員が年間360時間以上の残業をすると、会社が法律違反したことになります。
すると会社の責任者は6ヶ月以下の懲役か30万円以下の罰金を支払わなくてはいけない可能性があります。
会社の利益次第では30万円の罰金なんて大したことないかも知れませんが、企業名が公表されることで会社がイメージダウンする可能性はあります。
実際に厚生労働省の〇〇労働局では会社名や、日付、違反内容などが公表されます。(〇〇には都道府県名が入ります)
たとえば東京都ならこんな感じです↓
労働基準関係法令違反に係る公表事案
大阪府ならこんな感じです↓
労働基準関係法令違反に係る公表事案
リンクは今後切れる可能性があります。
最新情報を知りたい方は〇〇労働局のウェブサイトに行き、検索ウィンドウに「公表事案」と入力すると、労働基準法に違反した会社を見ることができます。
以上が36協定のかんたんな説明です。
長くなりましたがまとめると、私たち従業員にとって大事なことは…
- 年間360時間以上の残業はNG
- ひと月45時間以上の残業はNG
- バイトや派遣も含む
というわけですね。
次は2024年問題(残業960時間)について説明していきます。
2024年問題(残業960時間)とは?正しく理解しよう

2024年問題とは、正式には『物流の2024年問題』と言います。
2024年4月1日以降、トラック運転手の残業時間の上限が年間960時間以内に制限されます。
するとこれまでは運び切れていた荷物が、これからは荷物量が多すぎて運び切れない場合が出てきて、日本の運送業に大きな問題が出るという問題です。
時間内に運び切れば問題ないのですが、そのためには会社がトラックもドライバーも増やす必要があり、運送会社からすれば大きな出費なのでかなり厳しい状況です。
その原因の一つにネット通販が増え過ぎて、配送料金が業者間で価格競争になっていることも挙げられます。
私たちユーザーからすると配送料が安いのはありがたいのですが、運送業界では大問題となっているわけです。
ですがちょっとすみません。脱線したので話を戻します。
この時点で運送会社の従業員の残業がすでに色々おかしいですよね。
まず960時間制限の前に、36協定である360時間はどうした?
2024年の4月から施行ということは、今は年間何時間まで残業していいんだ?
36協定の存在意義は?
などなどです。
きっと多くの方が気になっているのではないかと思います。
次にくわしくわかりやすく解説していきます。
h2見出し ここまでの情報で新たに生まれた疑問に対する答え

ここからは上記で出た疑問について順番に答えていきます。
まず960時間制限の前に、36協定である360時間はどうした?
実は36協定には例外となる人がいます。
それが
- 建設事業
- 自動車運転の業務
- 医師
- 鹿児島県、沖縄県における砂糖製造業
の4業種で働く人たちです。
トラックの運転手は2番目の自動車運転の業務に該当しますので、今は36協定が無効ということなんです。
どんなルールにも例外はありますが、これはトラックの運転手がその例外になっているということですね。
2024年の4月から施行ということは、今は年間何時間まで残業していいんだ?
今のトラック運転手は36協定にも960時間制限にも引っかかりません。
よって2024年3月末までは何時間でも残業できるとなります。
36協定の存在意義は?
ここまで聞くと運送会社には36協定なんて何の意味もないように感じますよね。
ですが、ですが36協定の対象外は運転手だけです。
つまり同じ運送会社で働く社員どうしでも、営業や品質管理や総務などに勤務している人は36協定が有効になっています。
まとめ 2024年問題と36協定(サブロク協定)の違い

以上、今回は2024年問題と36協定の違いについて解説してみました。
長くなってしまったので、ポイントをもう一度わかりやすくまとめると…
- 36協定は年間360時間以上の残業がは禁止
- 36協定は月間45時間以上の残業は禁止
- 36協定はトラック運転手には適応外であり、いくらでも残業できるのが現状
- 2024年4月1日からトラック運転手の残業は年間960時間に制限される
- トラック運転手の勤務時間が減ることで、運び切れない荷物が出てくる可能性がある
- ↑を『物流の2024年問題』と言う。
というわけで今回はこのあたりで。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
ではまた。